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同一労働同一賃金の判例~その2~

非正規雇用に関する令和2年10月13日の2つの最高裁判決(第3小法廷)の概要

大阪医科薬科大学事件 令和元年(受)第1055号、第1056号

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/767/089767_hanrei.pdf 

争点① アルバイト職員への賞与の支給の差異

争点② アルバイト職員への私傷病による欠勤中の賃金等の支給の差異

結論①:本件大学の教室事務員である正職員に対して賞与を支給する一方で、アルバイト職員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらない。

結論②:本件大学の教室事務員である正職員に対して私傷病による欠勤中の賃金を支給する一方で、アルバイト職員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらない。

メトロコマース事件 令和元年(受)第1190号、第1191号

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/768/089768_hanrei.pdf 

争点 有期労働契約社員に対する退職金支給の差異

結論 売店業務に従事する正社員に対して退職金を支給する一方で、契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらない。

※林景一裁判官補足意見

・「退職金制度を持続的に運用していくためには、その原資を長期間にわたって積み立てるなどして用意する必要があるから、退職金制度の在り方は、社会経済情勢や使用者の経営状況の動向等にも左右されるものといえる。そうすると、退職金制度の構築に関し、これら諸般の事情を踏まえて行われる使用者の裁量判断を尊重する余地は、比較的大きい」

・「退職金には、継続的な勤務等に対する功労報償の性格を有する部分が存することが一般的であることに照らせば、企業等が、労使交渉を経るなどして、有期契約労働者と無期契約労働者との間における職務の内容等の相違の程度に応じて均衡のとれた処遇を図っていくことは、同条やこれを引き継いだ短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条の理念に沿うものといえる。」

 

※宇賀克也裁判官反対意見

・「本件の事実関係の下で、長年の勤務に対する功労報償の性格を有する部分に係る退職金、具体的には正社員と同一の基準に基づいて算定した額の4分の1に相当する額すら契約社員Bに支給しないことが不合理であるとして原審の判断は是認することができ」

・本件では、「むしろ正社員よりも契約社員Bの方が長期間にわたり勤務することもある。」ので、本件の退職金の「功労報償という性質」は、「契約社員Bにも当てはまる」

・正社員が担う代替業務とエリアマネージャー業務が大きな職務内容の差をもたらすものではない。

 

同一労働同一賃金の判例~その3~

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