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テレワークの導入と働き方改革

コロナウイルスの影響により、全国的な緊急事態宣言が出る等、多くの企業がテレワークを推進する必要に迫られることとなりました。
テレワークは、働き方改革関連法案の対象とはされておりませんでしたが、今後、より一層多様的な働き方の推進のために不可避となる制度と思われます。

(1) サテライトオフィス勤務及びモバイル勤務の追加

(2)「テレワークに際して生じやすい事象」に関する考え方の整理

① いわゆる中抜け時間について

 在宅勤務等のテレワークに際しては、一定程度労働者が業務から離れる時間が生じやすいと考えられます。そのような時間については、その開始と終了の時間を報告させる等により、休憩時間として扱い、労働者のニーズに応じ、始業時間を繰り上げる、又は終業時間を繰り下げることや、その時間を休憩時間ではなく時間単位の年次有給休暇として取り扱うことが考えられます。

② 通勤時間や出張旅行中の移動時間中のテレワークについて

テレワークの性質上、通勤時間や出張旅行中の移動時間に情報通信機器を用いて業務を行うことが可能です。これらの時期については、使用者の明示又は黙示の指揮命令下で行われるものについては、労働時間に該当します。

③ 勤務時間の一部でテレワークを行う際の移動時間について

午前中だけ自宅やサテライトオフィスで勤務をしたのち、午後からオフィスに出勤する場合等、勤務時間の一部でテレワークを行う場合があります。こうした場合の移動時間が労働時間に該当するか否かについては、使用者の指揮命令下に置かれている時間であるか否かにより、個別具体的に判断されることになります。使用者が移動することを労働者に命ずることなく、単に労働者自らの都合により就業場所間を移動し、その自由利用が保障されているような時間については、休憩時間として取り扱うことが考えられます。一方で、例えば、テレワーク中の労働者に対して、使用者が具体的な業務のために急きょ至急の出社を求めたような場合は、当該移動時間は労働時間に当たるとされています。

(3)フレックスタイム制

テレワークにおいても、フレックスタイム制が活用可能であることが明記されました。

(4)事業場外みなし労働時間制

テレワークにおいて、事業場外みなし労働時間制が適用可能となるための要件(使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難なとき)が以下のように整理されました。なお、当該要件は、テレワークに限らず、事業場外みなし労働時間制を活用する場合一般に応用可能と思われます。

①情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと

「情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと」とは、情報通信機器を通じた使用者の指示に即応する義務がない状態であることを指します。なお、この使用者の指示には黙示の指示を含みます。
・また、「使用者の指示に即応する義務がない状態」とは、使用者が労働者に対して情報通信機器を用いて随時具体的指示を行う事が可能であり、かつ、使用者から具体的な指示に備えて待機しつつ実作業を行っている状態又は手待ち状態で待機している状態にはないことを指します。例えば、回線が接続されているだけで、労働者が自由に情報通信機器から離れることや通信可能な状態を切断することが認められている場合、会社支給の携帯電話等を所持していても、労働者の即応の義務が課されていないことが明らかである場合等は「使用者の指示に即応する義務がない」場合に当たります。したがって、サテライトオフィス勤務等で、常時回線が接続されており、その間の労働者が自由に情報通信機器から離れたり通信可能な状態を切断したりすることが認められず、また使用者の指示に対し労働者が即応する義務が課されている場合には、「情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこと」とされていると考えられます。
なお、この場合の「情報通信機器」とは、使用者が支給したものか、労働者個人が所有するものか等を問わず、労働者が使用者と通信するために使用するパソコンやスマートフォン・携帯電話末端等を指します。

②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと

「具体的な指示」には、例えば、当該業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、これら基本的事項について所要の変更の指示をすることは含まれません。
 事業場外みなし労働時間制については、労働者がスマートフォンや携帯電話を所持しているようになると、使用者がいつでも連絡をとれる状態であるため、「使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難なとき」に該当せず、制度が適用されない、との考え方もあるところでした。しかしながら、上記表の下線部のとおり、(会社支給か個人所有かを問わず)スマートフォン等を所持しているとしても、即応義務がない場合には、事業場外みなし労働時間制の適用があり得ることが明確化されました。

(5) 休憩時間の取扱いについて

テレワークを行う労働者について、①労使協定により、休憩時間の一斉付与の原則を適用除外とすることができること、②一斉付与の原則の適用を受けるのは労働基準法第34条に定める休憩時間についてであり、労使の合意により、これ以外の休憩時間を任意に設定することも可能であることが明記されました。
 なお、②の点を補足すると一斉付与の原則が適用されるのは、労働基準法34条が定める最低限度の休憩時間(労働時間が6時間を超える場合においては45分、8時間を超える場合においては1時間)についてであり、それ以上の休憩時間を付与する場合には、一斉付与の原則が適用されない、ということです。ガイドラインにおいて、そういった解釈が明確に示されたことになります。

(6) 長時間労働対策について

テレワークにおける長時間労働等を防ぐ手法として、以下のものが記載されました。
① メール送付の抑制(時間外、休日又は深夜)
② システムへのアクセス制限(休日又は深夜)
③ テレワークを行う際の時間外・休日・深夜労働の原則禁止等
④  長時間労働等を行う労働者の注意喚起

  • 使用者側で対応が必要な事項
    ① テレワーク制度を導入するに当たって、まずその必要性や導入目的を検討し、明確化する。全社方針として共有される必要がある。
    ② テレワーク制度の運用に関する取決めや情報セキュリティに関する考え方を整理する。
    ③ テレワークに関する規程を作成する。
    ④ 就業規則を管轄の労働基準監督署長へ届け出る。
    ⑤ テレワークを実施するためのICT環境を整える。
    ⑥ まずは試行的に導入・検証した上で、本格導入につなげる。

テレワーク導入にあたり、テレワークに関する体制と規程を作成することのほか、労務管理担当者に対する研修、労働者に対する研修、周知・啓発が不可欠です。
当事務所では、テレワークに関する体制確立をフルサポート致します。

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