目次
フランチャイズ法務
フランチャイズ契約とは
フランチャイズ契約とは、フランチャイザー(本部。「ザー」とも略されます。以下「本部」といいます。)がフランチャイジー(加盟店。以下「加盟店」といいます。)側に対して、商号・商標などを使用する権利、自己の開発した商品やサービスを提供する権利、ノウハウなど(これらをまとめて「フランチャイズパッケージ」といいます。)を提供し、これにより本部自身と同一のブランドイメージで営業を行わせ、加盟店が、これに対して加盟金やロイヤルティーを支払う契約をいいます。加盟店は、フランチャイズ契約により、商品の販売に関して、店舗の規格、内装、販売方法等の様々な面で制約を受け、支配されます。
本部にとっては、自身のブランドイメージを(急速に)展開できることやロイヤルティーの支払を受けることができることが利点です。他方、加盟店にとっては、本部が築きあげてきたノウハウやブランドイメージを得て利益を得ることが利点です。
フランチャイズが用いられる業種の例
- コンビニ
- 飲食店
- カラオケ店
- クリーニング店
- スマホ(携帯)ショップ
- 学習塾、スクール
- エステ
- 美容院
- ホテル
- 整骨院
- 貴金属や高級ブランドの販売店
などがありますが、これ以外にも様々な業種があります。
フランチャイズにまつわる法的トラブルの例(加盟店側)
1 対本部の問題
- フランチャイズ加盟時の説明と違う内容の指示が出される
- フランチャイズ加盟時の説明にはなかった費用の支払を求められる
- 本部から違約金を請求される
- フランチャイズ契約解約を申し入れたら本部から不当な金銭の請求を受ける
- 本部から訴訟(違約金請求訴訟等)を起こされた
2 対顧客の問題
- クレームを受けた →クレーム対応の方法についてはこちら
- 店舗の風評被害や言いがかりを受けた →風評被害への対応はこちら
- SNSで虚偽の情報が出てしまっている →SNSでの誹謗中傷等についてはこちら
3 対従業員の問題 →人事労務、労働トラブルについてはこちら
- 採用段階でどのような労働条件を明示しないと違法となるのか
- 給与や賞与の設定をどのようにしたらよいか
- アルバイトにも有給を取らせなければならないのか
- 固定残業代(残業手当)という制度を導入したら残業代は払わなくてもよいのか
- 就業規則は作らなければならないのか
- 以前社労士にお願いして就業規則を作っていたが、内容が現在の実情と合わなくなってきてしまったので就業規則を変更したい
- 問題従業員への処遇(懲戒)
- 従業員がSNSで問題のある書き込みをしたところ、拡散してしまった
- 従業員が店舗の商品を勝手に売り払った、食べた
- 従業員が店舗の金庫からお金を横領し続けていたことが判明した
- 無断欠勤を繰り返す従業員のせいで他の従業員の士気に悪影響が出ている
4 会社組織(ガバナンス)の問題
- 法人成りした際に友人と家族に株主になってもらったが株主総会等を開いていない
- 株主名簿を作る必要はあるのか
- 税理士に任せているが、会社として必要な決算ができているのか不安である
- フランチャイズに詳しい知人に社外取締役として参画してもらうことになったがその際の留意点
以上にあげたものは、加盟店(フランチャイジー)側に起こる法的なトラブルの一例です。日々の加盟店の営業活動においては、例えば、隣接する別店舗と通路の使用方法についてトラブルになってしまったとか、加盟店会社の社長が交通事故に遭ってしまったというような様々な問題が起こりえます。
また、何らかのトラブルではあるのだが、法的なトラブルなのか、どこに相談したらよいのかといったことも起こりえます。このような場合であっても、ご対応について、ご相談にのることが可能です。
まずは、お気軽にお問い合わせフォームからお問い合わせください。
加盟店側への法的サポート内容
1 対本部の問題
対本部の問題は、主に以下の点に集約されます。
- 本部とのフランチャイズ契約を締結するにあたってフランチャイズ契約の内容や条件を確かめたかというフランチャイズ契約締結以前の問題
- フランチャイズ契約の締結の際に十分な説明を受けたか、説明を引き出せたか、といったフランチャイズ契約締結時の問題
- フランチャイズ開始後に契約外の金銭の支払いや違約金の支払いを不当に請求されというフランチャイズ契約締結以後の問題
- フランチャイズ契約の解消を申し出たら、不当な解約金を請求されたといった、契約解消時の問題
- とくに(3)や(4)に関して、本部から訴訟を提起されたという問題
いずれの問題についても、フランチャイズ契約内容やフランチャイズのビジネスモデルがどのようなものかをしっかり理解し、把握しておくことが極めて重要です。また、契約一般に関しては、こちらをご覧ください。
まず、(1)については、フランチャイズチェーン加盟時に、十分なリーガルチェックとフランチャイズビジネスの将来性や合理性についての理解を深めることが重要です。本部から、加盟時に、過度に期待を持たせる勧誘がされることもあるため、第三者である弁護士の意見を踏まえて、冷静にビジネスの展望を考える必要があります。
また、(2)については、フランチャイズチェーン加盟時の本部の説明が実態とかけ離れており、フランチャイズチェーン加盟後に加盟店の経営が行き詰まってしまうケースがあります。このような場合は、早急に弁護士に相談して、契約を解除して本部に対する損害賠償や加盟金返還請求をする必要があります。弁護士にすぐに相談し、本部に正当な請求をすることで、自社の損害を最小限にすることができます。
さらに、(3)や(4)については、フランチャイズ契約が、本部が加盟店を支配する性質を持つ契約であることから、契約の性質上、起こりやすい問題です。本部が契約上なすべき義務を行わなかったり、本部から加盟店に不合理な要求がされる場合などには、そのまま放置して本部との関係がずるずると悪化していくのを防ぐため、早期に弁護士に相談して必要な対応をしなければなりません。
そして、(5)については、本部から提起された訴訟に対応するためにいち早く弁護士に相談する必要があります。もっとも、(5)の段階まで、本部との関係がこじれるよりも前段階で弁護士に相談をすべきです。
顧問弁護士に依頼しておくことで、弁護士が日ごろの小さなトラブルを継続的に把握することができ、より早い段階でトラブルを未然に防ぎ、ダメージを最小限に抑えることが可能です。
2 対顧客の問題
加盟店の日々の営業活動において、顧客からのクレームやSNS上などでの風評被害が起こることが増えてきています。
クレーム対応については、こちらをご覧ください。
SNS上などでの風評被害については、こちらをご覧ください。
3 対従業員の問題
対従業員の問題については、人事労務、労働トラブルのページをご覧ください。
- フランチャイズにまつわる法的なトラブル(本部側)
フランチャイズ契約書の作成
- 本部側への法的サポート内容
1 フランチャイズ契約書や法定開示書面の作成
契約書一般についてはこちらをご覧ください。
フランチャイズ契約書や法定開示書面はフランチャイズ契約において最も重要な書面です。紛争が起きたときの解決の指針となるのはもちろんのこと、そもそも紛争が起きないように紛争の予防のためにどのような契約書の内容とすべきかがとても重要です。
2 本部の知的財産権の保護
知的財産権一般についてはこちらをご覧ください。
フランチャイズビジネスの確立にあたっては、商標権や意匠権、営業上のノウハウなどの本部の知的財産権の確保をする必要があります。
商標権や意匠権をはじめとする知的財産権分野を取り扱う弁護士だからこそできる万全のサポートをさせていただきます。
3 未払ロイヤルティや不足ロイヤルティの回収
ロイヤルティが支払われなくなったり、売り上げの虚偽申告によって約定のロイヤルティ額が支払われないことがあります。これらは、債権回収にまつわる問題です。債権回収一般については、こちらをご覧ください。
弁護にご相談の上、正確なロイヤルティ額を調査したうえ、内容証明の送付、支払督促、少額訴訟、通常訴訟、仮差押え、預金などの差押えといった債権回収の手段を講じていく必要があります。
4 加盟店からの加盟金返還請求や損害賠償請求への対応
加盟店との間で、加盟時の説明の食い違いがあったとか、契約の内容に関してトラブルが起き、その結果、加盟店から、加盟金の返還請求や損害賠償請求を受けることがあります。契約トラブル一般に関するノウハウはもちろんのこと、フランチャイズ契約に特有の問題もはらむため、弁護士への早期の相談により、トラブルの拡大を最小限にとどめることが必要となります。
5 第三者による知的財産権侵害への対応
2で記載したとおり、フランチャイズビジネスの確立にあたっては、商標権や意匠権、営業上のノウハウなどの本部の知的財産権の確保をする必要があります。もっとも、商標権の取得や意匠権の登録後に、同一または類似の商標や意匠を勝手に用いて、貴社のブランドを侵害してくる第三者が現れてしまうことがあります。このような知的財産権の侵害に対しては、弁護士による早急な対応が必要となります。具体的には、権利侵害の差止や損害賠償の請求をしていくことになります。