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従業員の問題行動への対応 ~経歴詐称・病歴詐称~

■懲戒処分

懲戒処分とは、従業員の企業秩序違反行為に対する制裁罰であることが明確な労働関係上の不利益措置をいいます。

 使用者が労働者に対して懲戒処分を行うためには、懲戒の「種別」と「事由」が定められた就業規則等に基づくことが必要です。

 労働基準法第89条第9号も、「制裁の・・・種類及び程度」を就業規則上の記載事項と定めております。

■経歴詐称

 懲戒事由となる「経歴詐称」とは、使用者による能力や人物評価を妨げ、継続的な労働契約関係における信頼関係を損なうような重要な経歴(学歴、職歴、犯歴など)の詐称に限られます。

 例えば、軽微な学歴の誤記があったとして、直ちに経歴詐称として懲戒処分がどのような場合でも許されるというわけではございません。

 

■病歴について

病歴については、使用者が原則として収集してはならない個人情報とされております(厚生労働省「労働者の個人情報保護に関する行動指針」)ので、職務内容と密接にかかわるものとして真に業務上の必要性が認められる場合にのみ、適切な方法にのっとって収集することが認められます。このような例外的な場合にのみ業歴詐称は懲戒事由とされうることがあります。

使用者としては、従業員の健康状態や病歴について関心事となることもあることは理解できます。

しかし、過度な病歴情報の収集とならないように、万全の検討を要します。

■弁護士への依頼の検討

 採用面接時や雇用継続中に従業員の経歴詐称・病歴詐称が発覚した場合には、直ちに懲戒処分を発動するのではなく、一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 具体的な事実関係にもとづき、「使用者による能力や人物評価を妨げ、継続的な労働契約関係における信頼関係を損なうような重要な経歴(学歴、職歴、犯歴など)の詐称」に当たるのかを判断し、懲戒処分に関する紛争を予防することをお勧めいたします。

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