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同一労働同一賃金の判例~その4~

旧労働契約法第20条とパートタイム・有期雇用労働法8条

旧労働契約法第二十条

「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律第8条

(不合理な待遇の禁止)

「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。」

■両規定の違い

両規程の相違点は、パートタイム・有期雇用労働法第8条が適用対象者をパートタイム労働者のほか、有期雇用労働者にまで拡大したこと及び「労働条件」という用語がこれを包括する広い概念である「待遇」という用語に変更されたこと以外では、以下のとおりです。

1つ目は、旧労働契約法第20条(以下、単に「労働契約法第20条」といいます。)にあった「期間の定めがあることにより」という文言がパートタイム・有期雇用労働法第8条では入っていません。

2つ目は、パートタイム・有期雇用労働法第8条は、「基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて」不合理性の判断をするとしており、個別の待遇ごとに不合理性の判断をすることが明示された点です。長澤運輸事件最高裁判決(最判平30.6.1判時2389・107)でも、不合理性の判断は、両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく(同二審判決は賃金総額の比較を中心に不合理性を判断)、それぞれの賃金項目の趣旨を個別に配慮すべき旨を判示していたので、労働契約法第20条の解釈と異なるものではありません。

3つ目は、待遇の比較の対象について、パートタイム・有期雇用労働法第8条では「当該待遇に対応する通常の労働者の待遇」とされている点です。比較対象は、「通常の労働者の待遇」ではなく、「当該待遇に対応する通常の労働者の待遇」であることが明記されました。

4つ目は、不合理性の判断は、パートタイム・有期雇用労働法第8条では、労働契約法第20条に明記されていた「職務の内容」、「職務の内容及び配置の変更の範囲」、「その他の事情」という3要素の中で、「当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して」行うとされている点です。労働契約法第20条では、条文上、どの待遇についてどのような事情を考慮して判断するのが必ずしも明確ではありませんでしたが、それぞれの待遇について、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断することが明記されたものです。

5点目は、禁止の内容が、労働契約法第20条の「不合理と認められるものであってはならない」という文言から、「不合理と認められる相違を設けてはならない」という文言に変更されている点です。しかし、これは単に、事業主の行為義務であることが明確にされたにすぎません。

 

■今回の一連の判例の読み方~労働契約法第20条の規定

有期雇用労働者の待遇について、労働契約法第20条は、有期雇用労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者に雇用される無期労働契約者の労働条件と相違する場合、その労働条件の相違は、①職務の内容②職務の内容及び配置の変更の範囲並びに③その他の事情を考慮して、有期雇用労働者にとって不合理と認められるものであってはならないと定めています。

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