電子契約・電子署名に関してQA

目次

電子契約

Q1. 電子契約とは何ですか。

 

A.   契約内容を電子文書(通常はPDF)にまとめ、電子的に署名・押印をするもので、電子文書(電子ファイル)に電子的に署名(電子署名)・押印(電子サイン)することで契約を締結し、そのまま電子ファイルとしてコンピューターやサーバーのストレージ領域に保管する方式をいいます。

Q2. 電子署名とは何ですか。

 

A.   電子署名法第2条第1項によれば、電子署名とは、電磁的記録に記録することができる情報について、①「電磁的記録に記録された情報が、当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること」(本人性)及び②電磁的記録に記録された情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること(非改ざん性)を満たした「措置」であるとされています。

Q3. 書面契約と電子契約の署名方式、受け渡し、保管方法の違いを教えてください。

 

A.

 

Q4.書面契約と電子契約の本人性の確認、非改ざん性の確認の違いを教えてください。

A.   

 

Q5. 電子契約のメリットを教えてください。

 

A.   経費の節減、業務の効率化、コンプライアンス強化といった点が挙げられます。

Q6. 電子契約のメリットである経費の削減とは具体的にどのようなものがありますか。

 

A.   課税対象文書は書面文書とされるため、電子契約の場合、印紙税が課されないこと、インターネット上でのデータのやり取りであるため、契約書の印刷、郵送が不要であること、締結した契約データはサーバーのストレージ領域に保管されるため、保管スペースや保管コストが不要であることなどが挙げられます。

Q7. 電子契約のメリットである業務の効率化とは具体的にどのようなものがありますか。

 

A.   書面契約書のように、印刷、製本、押印、封入、郵送といった作業が不要となり、時間が大幅に短縮されること、契約の進捗状況が常に確認できるので、漏れや遅滞を防ぐことができること、過去の契約の迅速な検索ができることなどが挙げられます。

Q8. 電子契約のメリットであるコンプライアンス強化とは具体的にどのようなものがありますか。

 

A.   電子署名とタイムスタンプにより生成される電子契約では、改ざんリスクが低く、データへのアクセス履歴も容易に残せるため、業務の透明性が担保されるが挙げられます。

Q9. 電子契約を用いることができない契約類型はありますか。

 

A.   以下の契約類型が挙げられます。

・定期借地契約(借地借家法第22条)

・定期建物賃貸借契約(借地借家法第38条第1項)

・宅地建物売買等媒介契約(宅建業法第34条の2)

・宅地建物売買等契約締結前の重要事項説明・締結時の契約書等の書面(宅建業法第35条第1項・第37条第1項第3号)

・マンション管理委託契約(マンション管理法第73条)

・訪問販売などの特定商取引における交付書面(特定商取引法第4条・第5条・第18条・第37条・第42条・第55条・第58条の7)

Q10. 電子契約の注意点を教えてください。

 

A.   例えば、訂正印を使うことができないことや電子帳簿保存法に基づく電子データの保存を確立する必要があることが挙げられます。

 

 

 

電子署名

Q1. 電子契約に関する法律は何ですか。

 

A.   電子契約に関する電子契約法、電子署名に関する電子署名法があります。

Q2. 電子署名法における「電子署名」の意味を教えてください。

 

A.   電子署名法第2条第1項は、「電子署名」を「電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置」であって、「当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること」及び「当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること」のいずれの要件も満たすものと定義しています。

すなわち、電子署名とは、電磁的記録に記録することができる情報について、①「電磁的記録に記録された情報が、当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること」(本人性)及び②電磁的記録に記録された情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること(非改ざん性)を満たした「措置」であるとされています。

Q3. 電子署名の本人性の要件に関して、本人確認は必要ですか。

 

A.   本人確認(署名者が誰であるかの身元確認)は不要とされ、署名者が電磁的記録を作成したことを示すためのものであれば足りるとされています。

Q4. 電子署名の「措置」という点に関して、公開鍵暗号方式が必要ですか。

 

A.   「措置」については、一般的に使用されている公開鍵暗号方式を取ることも求められてはいません。

Q5. 電子署名法第3条の真正な成立の推定とはどういうことですか。

 

A.   電子署名法第3条は、「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」と規定しています。

すなわち、電子署名法第3条によれば、ある電磁的記録がその作成者とされる者によって作成されたものであるとの推定を受けるためには、①電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの、②その情報について本人による電子署名が行われていること及び③電子署名を行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものとの要件を満たす必要があります。

Q6. 「③電子署名を行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができること」とはどのような性能を意味するのでしょうか。

 

A.   他人による解読・偽造が不可能に近い性能を有しているものに限るという意味であるとされています。

Q7. ③の「本人」とはどういう意味でしょうか。

 

A.   規範的な意味での本人であり、実際に物理的に電子署名をした者ではないとされています。

Q8. 署名代行とは何ですか。

 

A.   電子署名における署名代行は、例えば、従業員が代表者の電子署名を署名代行する場合のことをいいます。

Q9. 署名代行を行う場合、③の「本人」という要件を満たさないのではないですか。

 

A.   署名代行がされた場合には、それらの符号・物件が適切に管理されているかが問題となり、それらが適切に管理されているのであれば、電子署名法第3条の要件を満たすこととなります。

Q10. 「電子署名を本人だけが行うことができることとなるもの」と証明できるのはどのような電子署名でしょうか。

 

A.   「電子署名を本人だけが行うことができることとなるもの」に関しては、電子認証局が本人確認をしたうえで発行した電子証明書が、本人だけが行うことができる電子署名であることを証明できる可能性が高い証拠になると考えられています。

Q11. 電子署名法第3条の推定を受ける電子署名であるためには、同法第2条の要件を満たす必要はありますか。

 

A.   はい。電子署名法第2条第1項に規定する電子署名の要件である、本人性及び非改ざん性をも満たす必要があります。

Q12. 電子署名の分類はどのようなものがありますか。

 

A.   (一般論としての)信頼性の高低に応じた分類、ローカル署名とリモート署名、民間認証型と公的認証型、当事者署名型と立会人署名型(事業者署名型)、BtoB型とBtoC型といった分類がされることがあります。

Q13. ローカル署名とは何ですか。

 

A.   ローカル署名とは、署名者の手元に秘密鍵(多くの場合、ICカードなどの物理的なデバイスに収納されています。)がある仕組みをいいます。

Q14. リモート署名とは何ですか。

 

A.   リモート署名とは、利用者が事業者に秘密鍵を預け(秘密鍵が事業者のサーバーに保管されます。)、必要に応じて、ユーザーが事業者にアクセスして、預けた秘密鍵を利用して電子署名を行う仕組みをいいます。

Q15. リモート署名は電子署名法第2条第1項の電子署名に該当しますか。

 

A.   リモート署名であっても、本人性及び非改ざん性という要件を満たせば、電子署名法第2条第1項の電子署名に該当します。

Q16. 電子証明書の発行の意味を教えてください。

 

A.   電子署名では、署名者が本人であることを認証するための方法として、電子認証局が電子証明書を発行します。

Q17. 民間認証型と公的認証型とは何ですか。

 

A.   電子証明書の発行により、署名者が本人であることの認証について、民間事業者が認証を行う場合と、公的機関が認証する場合に分類できます。

Q18. 公的認証型の例の教えてください。

 

A.   公的機関による認証の典型例としては、登記局が電子証明書を発行する商業登記に基づく電子認証制度や公証人が電磁的記録の認証をする電子公証制度があります。

Q19. 公的個人認証サービスの例を教えてください。

 

A.   例えば、公的個人認証サービスとして、マイナンバーカードのICチップに格納されている署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書のうち、署名用電子証明書を使って電子申告をする際の電子署名をすることができます。

Q20. 当事者署名型とは何ですか。

 

A.   契約書に契約当事者の電子署名を行うもの、すなわち、第三者である電子認証局が各署名者の本人確認を行い、発行した電子証明書を用いて本人が電子署名を行うものをいいます。

Q21. 当事者署名型の問題点・デメリットを教えてください。

 

A.   契約書に電子署名する場合には、相手方当事者も電子署名をする必要があるため、相手方当事者に認証事業者の選定や契約などの手続や電子証明書のコストを負担させることになるため、相手方当事者が電子署名に応じなかったり、署名手続がスムーズに進まない事態が起こり得ます。

Q22. 立会人署名型とは何ですか。

 

A.   ユーザーの指示に基づき、ベンダーにおいて文書に電子署名を施す形式をいいます。第三者である事業者が立会人的に電子文書に電子署名をすることで、本人性及び非改ざん性を確保しつつ当事者がサインすることのデメリットを解消しようとするものです。

Q23. 立会人署名型と事業者署名型は同じですか。

 

A.   立会人署名型は、サービス提供事業者が立会人になることが一般的なので、「事業者署名型」と呼ばれることもあります。

Q24. 立会人署名型(事業者署名型)でも契約は有効に成立しますか。

 

A.   します。

Q25. 立会人署名型の中の分類があるのですか。

 

A.   「立会人のみ型」と「立会人+当事者型」とに分けることができます。

Q26. 現在出されているサービスはどのような分類になるのですか。

 

A.   Q21の問題点があるため、立会人署名型(事業者署名型)が多いです。

そして、サービス事業提供者の判断が介在することはまずありえないことから、立会人型の多くは、「立会人+当事者型」に該当するものが多いです。

Q27. クラウド署名とはこれらの分類との関係ではどういう意味ですか。

 

A.   クラウド署名は、リモート署名を意味することも、立会人型を意味することもあります。

Q28. 電子署名法上、BtoB型とBtoC型の区別はありますか。

 

A.   ありません。

Q29. BtoB型とBtoC型の違いはどのようなものがありますか。

 

A.   BtoB型は、反復継続し、取引額も多額となるのに対し、BtoC型では、単発的で、取引額も少額となる傾向があること、BtoB型は、取引の交渉過程などの証拠が残っていることが多く、署名に頼らずに作成者を立証する可能性がBtoC型よりも高いことなどが挙げられます。

Q30. BtoC型でのみ問題となる法律はありますか。

 

A.   消費者契約法や電子消費者契約法などが挙げられます。

 

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